子供がいるご家庭はすでにご存知だと思いますが、子供1人につき毎月最大1万5,000円が受給できる児童手当という制度があります。
政府は、児童手当の支給対象を拡大する方針を発表しました。現在は中学生までの支給ですが、18歳まで月1万円を支給する方向で調整しています。
また、多子世帯への支援拡充のため、第3子以降は、3歳~小学生の児童手当を月額15,000円から月額30,000円に増額する方針です。
引用元:Yahoo!くらし
具体的な内容は、2023年6月の「骨太の方針」で確定するとされています。
そこで、今回は、仮に高校卒業まで児童手当をもらえるようになった場合に、大学の学費をどう準備していくかを視点において解説していきます。
児童手当とは?
児童手当とは、中学校を卒業するまでの児童を養育している家庭が受け取れることができる手当のことです。
児童手当は、子育て世帯の安定した生活と今後の社会を担う児童の健やかな成長を支えることを目的とした制度で、かつては「子ども手当」と呼ばれていました。
現在の制度では、子供が産まれてから15歳の誕生日後の最初の3月31日になるまでの間、一月あたり5,000~15,000円の手当が支給されます。受給するためには、お住まいの市区町村で子どもが産まれたら申請が必要です。
支給対象(現行制度)
児童手当が支給されるのは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人です。
支給額(現行制度)
- 0~3歳未満 15,000円/月
- 3歳~小学校修了前 10,000円(第3子以降は15,000円/月)
- 中学生 一律10,000円/月
支給日
児童手当が支給されるのは、毎年6月・10月・2月の年3回で、前月分までの4ヶ月分の手当がまとめて支給されます。
実際に支給される日は、お住まいの市区町村によって異なります。
大学の学費に備える
大学の授業料
大学4年間の授業料は、ざっくりと以下の通りです。
授業料 | 入学金 | 4年間合計 | |
---|---|---|---|
国立大学 | 535,800 円 | 282,000 円 | 2,425,200 円 |
公立大学 | 536,224 円 | 367,779 円 | 2,512,675 円 |
私立大学 | 930,943円 | 245,951 円 | 3,969,723 円 |
※私立大学:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より試算
高校卒業までにもらえる児童手当
政府の方針通りに、仮に児童手当が高校卒業までになった場合もらえる金額は以下の通りとなります。
- 0~3歳未満・・・15,000円×12ヶ月×3年=54万円
- 3歳~中学生・・・10,000円×12ヶ月×12年=144万円
- 高校生・・・10,000円×12ヶ月×3年=36万円
- 合計・・・54万円+144万円+36万円=234万円
※実際は生まれた月により金額は異なります。
児童手当をどう使う?
①銀行口座にそのまま預ける
4ヶ月に一度振り込まれる児童手当を、そのまま銀行の口座に置いておいても現時点での国立、公立大学の授業料程度は貯まります。
但し、利子が限りなくゼロに近いのでほとんど増えません。
②学資保険に使う
もう少し増やす手としては、もらった児童手当で学資保険にかけるという手もあります。学資保険にかけるメリットは以下の通りです。
- 払い込んだ保険料よりもお金が増える(例えば、200万円の払込保険料が返戻率110%の学資保険であれば、220万円戻ってくる)。
- 契約者が死亡した場合等は、その後の保険料は払込免除され予定通りに学資金、満期保険金を満額受け取れる。
- 「生命保険料控除」の対象になり、税制優遇がある。
デメリットとしては、以下の点があります。
- 途中解約すると、元本割れする。
- 急な出費があった場合に、対応が難しい。
③証券口座で運用する
例えば、米国のS&P500の指数に連動した投資信託などで運用する手もあります。
S&P500は、米国でもっとも代表的な「株価指数」で、長期的に安定したリターンを誇っていることから、投資家から人気があります。
S&P500は1957年に導入されて以来、年平均で約10.7%の上昇率を記録しています。リターンは毎年大きく変動しますが、長期にわたって投資を継続するのであれば、有効であると考えられます。
代表的な投資信託としては、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際投信)、「SBI・V・ S&P500」(SBIアセットマネジメント)等のインデックスファンドがあります。
S&P500の上昇率の過去の実績は、年平均で約10.7%です。仮に、高校卒業までにもらえる児童手当最大の234万円を、年利5%(複利)で運用できた場合の高校卒業時の金額を試算したところ約377万円となりました。
証券口座で運用するメリットは以下の通りです。
- お金を大きく増やせる可能性がある。
- つみたてNISAや2024年から始まる新NISAの口座を活用すれば、増えたお金も非課税になる。
また、デメリットとしては、元本保証がされないことです。
くれぐれも投資は自己責任、自己判断でお願いします。
まとめ
今回は、児童手当が高校卒業まで支給延長になった場合の活用法について説明しました。ひと月あたりの金額は小さくても期間を通してみると大きな金額になります。
児童手当を、振り込まれた時にその都度なんとなく使うのではなく、期間を通じていくらもらえるのか、どう将来に向けて準備するかの長期的な視点で見ると使い方が変わってくると思います。
賢く貯めて将来に備えましょう。