小企業にとって、固定費は経営の大きな負担となります。固定費を削減することで、経営の安定化や利益率の向上につながります。
固定費の削減は、経営者の強い意志と従業員の協力が不可欠です。経営者は、従業員にコスト意識を持たせ、削減策の実行を促す必要があります。
また、従業員も、業務の効率化や省力化に協力することで、固定費削減に貢献することができます。そして、そのことにより従業員の労働条件の向上につなげることができます。
そこで、今回は小企業の固定費削減のポイントについてご紹介します。
固定費削減のポイント
固定費削減を行うためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。
固定費の全体像を把握する
固定費削減を行うためには、まずは自社の固定費の全体像を把握することが大切です。固定費は、人件費、通信費、水道光熱費、消耗品費、広告宣伝費、家賃・地代、減価償却費など、さまざまな項目があります。
これらの項目をすべて洗い出し、金額を把握することで、削減の余地があるかどうかを見極めることができます。固定費の把握には、以下の方法が有効です。
- 会計ソフトやスプレッドシートを使用して、固定費を項目別に集計する
- 請求書や領収書を保管して、固定費の明細を整理する
削減の目標を設定する
固定費の全体像を把握したら、削減の目標を設定します。目標を設定することで、削減を継続しやすくなります。目標は、現状の固定費から10％削減するなど、具体的な数字で設定すると良いと思います。
具体的な削減策を立てる
削減の目標が決まったら、具体的な削減策を立てます。削減策を立てて、成功させるための意識すべきポイントは以下の通りです。
- 効果が大きいものから優先的に行う
- 固定費削減によって、業務に支障をきたさないものにする
- 一時的な削減にとどまらず、継続的に実施できるものにする
- 従業員の理解や協力を得られるようにする
具体的な削減策
具体的な削減策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人件費：業務の効率化や省力化を図る、人件費の削減を検討する、社員の働き方を見直す
- 通信費：通信会社を乗り換える、契約プランを変更する、不要な契約を解約する
- 水道光熱費：使用量を減らす、省エネ設備を導入する
- 消耗品費：消耗品の使用量を減らす、安価な消耗品に切り替える
- 広告宣伝費：効果的な広告宣伝を実施する、予算を見直す
- 家賃・地代：地主との家賃交渉、オフィスの縮小や移転を検討する
- 減価償却費：設備の稼働率を高める、不要な設備を処分する
具体的な削減策の実行
先ほどご紹介した具体的な削減策をどう進めていくべきかについて、具体例を挙げてご紹介したいと思います。
人件費削減が見込める施策
業務の標準化やマニュアル化を行う
業務の標準化やマニュアル化を行うことで、業務の属人化を防ぎ、誰でも同じ品質で業務を遂行できるようになります。また、マニュアル化することで、業務の可視化が図られ、無駄な作業や手順の洗い出しがしやすくなります。
IT化や自動化を図る
IT化や自動化を図ることで、手作業による作業を減らし、業務の効率化を図ることができます。例えば、MicrosoftのExcelやWordなどの機能をフルに活用すれば、業務の効率化が図ることができるものはまだまだあると思います。
ただし、MicrosoftOfficeのライセンスは高額なので、少人数の事業者であれば費用のほとんどかからないGoogleのSpreadSheetやDocumentを利用すれば良いでしょう。
また、IT化や自動化によって、データの蓄積や分析がしやすくなり、業務の改善にもつながります。これもGoogleDriveなどのクラウドで、従業員間でデータを共有すればデータ管理がしやすくなると思います。
業務の見直しや改善を行う
業務の見直しや改善を行うことで、業務の無駄を省き、効率化を図ることができます。業務の見直しや改善を行う際には、以下のポイントを意識することが重要です。
- 現状の業務を把握する
- 業務の目的や目標を明確にする
- 業務の流れを可視化する
- 業務の無駄を洗い出す
- 業務の改善策を立案する
通信費削減が見込める施策
社内のインターネット環境や、従業員の使用する通信（データ通信、通話）の状況を把握して契約内容を最適化する必要があります。
特に、電話の通話料金は費用が膨らむ可能性が高いので、スマホのかけ放題プランを利用するか、光回線と併せて利用ができるひかり電話や、IP電話のアプリを使うことで費用を抑えることができます。
また、FAXはクラウドFAXにすると良いでしょう。クラウドFAXとは、インターネットに接続したパソコンやスマートフォンを利用してFAXを送受信するサービスです。従来のFAXは、FAX機や複合機と電話回線を利用してFAXを送受信していましたが、クラウドFAXでは、インターネット回線を利用するため、FAX機や複合機がなくてもEメールなどでFAXを送受信することができます。
水道光熱費削減が見込める施策
これは、従業員に積極的に協力してもらう必要がありますが、使用量を減らすための節電や節水、省エネ設備を導入することなどが挙げられます。
消耗品費削減が見込める施策
消耗品費で、費用削減効果を大きくするためには利用頻度の高い、コピー用紙や文具などの事務用品や、ティッシュペーパーなどの日用品が挙げられます。特に、業務上の書類をできるだけペーパーレスにすることでコピー用紙にかかる費用を極限まで下げることができます。
また、プリンターの保守やインク、修理代金なども最小化できます。日用品などは、近くのドラッグストアや100円ショップで調達できるものは、そちらに調達先をシフトしましょう。
広告宣伝費削減が見込める施策
できるだけ少ない費用で効果的な広告宣伝を実施するためには、ホームページとLINE等のSNSを連携させて活用することが有効です。
ホームページは、開設に膨大な費用と時間を要すると思われがちですが、サービスによっては、安価に１日～１週間で簡単に立ち上げることができるサービスもあります。
また、広告の発注先を変更を検討することも費用削減の有効な手段です。特に、ネット印刷のサービスは、対面での印刷業者と比べ物にならないくらい安く印刷を依頼することができます。
まとめ
今回は、小企業の固定削減のポイントについて説明しました。この記事を読んでいる人は、会社の費用をなんとか削減したいと藁をもすがる気持ちだと思います。
慌てずに、一つ一つの支出を確認していって下さい。それぞれの支出を、同じクオリティで違うものに置き換えることはできないかと考えていくと、いくつも削減できる方法が見えてくると思います。
会社の支出をスリムにして、利益を上げるとともに、従業員に喜ばれる働きやすい会社を作っていきましょう。
